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10章:喧嘩
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10章:喧嘩
大樹とはほとんど喧嘩したことなんてなかった。
温厚で優しい大樹。
大樹と知り合って3ヶ月がたつ頃だった。春に出会ってもう夏がくるころ……
仕事終わりに大樹がうちに来た。でもベランダに出てずっと電話していた。1時間位かな?
せっかく起きて待っているのになぁ‥‥時間帯が合わない私にすればそれさえィラィラの原因。
でも同業だから仕方ないという気持ちもわかってあげたかった。
部屋に戻ってくると
大樹「本当にないわぁ」
『どうしたの?』
大樹「エースがカケきついって言い出したんだよね」
『今月分いくら?』
大樹「あと50位かな…体調悪くて仕事休んでるらしい。ど-せ性病かなんかで働けないんだろ。まじありえね-し( -_-)」
『あのさぁ、大樹のお給料はエースさんが毎日働いてるからもらえるんだよ。ど-せ性病はなくない?』
さすがに同じ女として腹が立った。
大樹「でも50はでかいよ」
『わかるよ、でも体を使うお仕事なら尚更なにがあるかわからないし、そんなに無理して使わせなければこんなことにならなかったんじゃないの?』
大樹「あ〜もうわかったよ、お前うるせー」
大樹はカケの事でィラィラしていて初めて私に怒鳴った。
『‥‥‥‥』
大樹「ごめん」
『帰って』
大樹「やだ」
『大樹はお客をバカにしてる。エースをバカにしてるってことは貴恵の事もそう思ってるの?貴恵は大樹の為に、大樹が好きだから頑張って働いてるんだよ。エースさんもそうだよ。大樹の為に何百万も使ってくれてるんだよ?大樹は人の為にそんなに使える?』
大樹「‥‥‥」
『大樹は体を売ること、お客がどんな気持ちで会いに行くのか、もっと良く考えな。』
大樹「貴恵ごめん」
『今日はもう無理。帰って』
私は怒りを抑えきれなかった。
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どうしても傍にいたかった ©著者:貴恵
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