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8章:〜孤独〜 (6/7)

311号室…部屋番は辛うじて見える。


扉はまるで俺を誘うかの様に、
5センチ程開いたままになっている。


…こんな隙間が俺の道なんだよな…


ふと、自分がこの体に馴染んでいる事を
改めて実感して悲しくなった。


中へ入った俺が見たのは…


真也はベッドに座って泣いていた。


声を出せない俺は、机に飛び乗る。


「…お前…?」


真也は俺に気付き、涙を拭いた。


「喋れねーお前に話しても…な…」


また下を向いた真也だったが、
深呼吸をして、また俺を見つめた。


「百合にさ…怒られちまったよ。
あたしの彼氏の真也は、あなたの事を
閉じ込めたりなんかしてない…って。
あなたが勝手に閉じこもったんだ…って。
…そーなんだよな…実際。俺とお前は
一心同体。お前が考えた事に賛同したから
俺の精神は一時的にお前の奥深くに眠った。
それが事故のショックでお前が飛び出て、
たまたま俺は体に残ってただけだ。
お前を…いや、もう一人の俺であるお前を
追い出す気なんて毛頭なかったんだ。
でもこうして俺が俺で居られる事を知って、
お前が体に戻るのをずっと拒んでた。
二重人格って…残酷だよな…」


彼は目を閉じ、俺を胸に押し当てた。


…聞こえるか?俺の声…


…!聞こえる…


…お前の声も聞こえるよ…
こうして心を重ねれば聞こえるんだ…
俺もお前も、自分自身だもんな…


…お前…自由になりたかったのか…


彼の心の中が、俺に流れ込んでくる。


…俺っていう檻から、出たかったんだな…


…もういいんだ。少し、自由を知れたから…


………俺、このままでいいよ。
お前に体、やるよ。


…!何で!?


…お前は俺だろ?俺が体に戻ったら、
またお前は俺の中に閉じ込められる。
俺さ、ストラップの人生も良いなーって
思ったりしちまったんだよな(笑)


…いいのか?


…ああ、構わない。


…百合は?


…あいつなら、分かってくれるさ。
ただし、百合は渡さねーよ?


…分かってる。ありがとう…
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大好きな君の傍で ©著者:陽

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