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4章:〜偽り〜 (1/11)

4章:〜偽り〜

携帯の画面が急に真っ暗になった。


…違う…俺の…視界が…真っ暗…


ストラップの人形は、その場に倒れた。


…携帯の充電も、残りわずかなのに…


……………


…意識を無くしてからどれだけ時が過ぎた?


辺りを見回して見ても、景色は一緒だ。


病室の扉が開き、移動式ベッドが一台、
俺が置かれているベッドの横に来た。


「…これは…この患者さんの携帯?」


一人の看護士がこちらを見て呟いた。


そして俺の携帯を、枕元の机に置く。


…うっ…!…携帯の下敷きに…


その看護士の置き方が奇跡的だった。


ストラップが真下になる位置関係で
携帯を机の上に置いたのだ。


…お、重い…だけど…今動いたら…


携帯の下からベッドの方を必死に見る。


………お、俺…なのか?…


骸骨ストラップの目に映ったのは…
頭を包帯でグルグル巻きにされた男の顔。


毎朝洗面台の鏡で見ているその顔。


事故に遭ったのが嘘かと思えるくらい、
傷一つ付いていないのだ。


ただ…頭の包帯は隙間なく巻かれていて…
恐らく、髪は全て剃り落とされている。


俺の体を病室のベッドに移した医者は、
看護士と何やら話しているようだ。


「2週間、面会謝絶にしておいてくれ。
彼の場合、後は生命力に賭けるしかない」


「分かりました、芦田先生」


…芦田…担当医か?


「ご両親には、私から話しておく」


「…ですが、もし、このまま意識が
戻らなかった場合のトラブルも…」


「分かっている。…彼を救う為には、
絶対安静、それだけなんだ」


「…しかし…こういう症状の患者には
親しい人物の声などが効果的なのでは…?」


「…君だけに私が治療した患者の一人の
不可思議な現象について…教えよう…」


俺は重みに耐えて耳を澄ませた。
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大好きな君の傍で ©著者:陽

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