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1章:夜明けの歌
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1章:夜明けの歌
ロックで世界を変えるとか、
ロックが世界を救うだとか、
長い歴史の中で大物ミュージシャンは口を揃えてそう言ってきたけれど、
僕は全く信じない。
ビートルズが世界の音楽に影響を与え、
ブルーハーツが日本で新しい風を巻き起こし、
ハイスタンダードが僕の音楽の観念を変えた。
彼らみたいな音楽家を、
世の中はカリスマだとか革命児だとかそんなありふれた表現で褒め称えるのであるけれど、
あくまでも音楽は音楽。
世界は変わっちゃいないし、
救われてなんていない。
ただ、ラーメンにコショウをまぶすくらいのスパイスを世の中に与えているだけなのである。
「いや、充分すげえじゃん」
と言われたら、
全く、
凄すぎるほど凄いと思う。
そう遠くない過去に、
東京都知事選挙に立候補し、政見放送でパワー・トゥ・ザ・ピープル」や「コミック雑誌なんかいらない」を歌って主張したロッカーがいたが、
人はそれを見て失笑しただろう。
少なくとも僕はした。
かっこいい、このような人になりたい、
なんて思わなかった。
ロックはこんな小さな島国すら変えることはできなかった。
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ロックと鼻くそ ©著者:K山K太
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