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6章:それぞれの事情 (2/3)



 様々な事情を抱えて入店する女の子が多いように、男性スタッフもまたそうなんじゃないかと思う

<興味があった>

<高収入に惹かれて>

大きく分ければこの2つではないだろうか 無論僕は後者である

僕より後に入った井下君もまた同じだった

アウトローな容姿とは裏腹にとても気さくな人間だった

僕が勤務を始めたのが12月上旬、井下君は下旬、12月ということもあり[T]は連日満員御礼、僕達は年内休みなしを社長に命じられていた 僕に至っては風邪で休んだ翌日から、井下君は勤務開始から年内休みなし、佐山さんも休みなしだ

6畳ほどの決して広いとは言えない待合いスペース、そこに男が三人いるわけなのだから来店されるお客様からしたら圧迫感もあったと思う

食事休憩の20分間、小休憩の10分間以外は常時三人いるのだ

それぞれの休憩時間に佐山さんがいなくなる その時に僕と井下君はよく話していた 最も多く聞かれたのが‘佐山さんと仲が悪いのか’という部分、正直良いのか悪いのか答えようがなかった

話はギャンブルの話にもなり、井下君は結構詳しかった 僕は少し突っ込んで聞いてみた


「井下君はギャンブル好きなの?」

「前はよくしてたけど、今はそんなにはやらんなあ」

「そうなんだ なんで?」

「実はさあ・・」


深刻な顔をしていた 気になるな ここで佐山さんが戻ってくるんじゃないだろうな 戻って来ないでくれよ


「実は、彼女が妊娠してて子供が生まれるんだ だから俺は普通の仕事の給料よりも多く稼がなきゃいけないんだ」

「えっ・・」


僕はその理由を聞いて驚いた


カランカラン!


「村上君、休憩行ってきていいよ」


井下君に言おうとした言葉は戻ってきた佐山さんによって消された

非常階段の踊り場 この小さな休憩スペースの椅子に座りながら考えていた



偶然ってあるんだな・・


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僕が風俗店のオーナーになるまでの日々 ©著者:cvbrkk

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