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20章:一歩にも満たない前進 (2/6)





 あの時がそうだった [S]の店長を任された時だ



「村上に代わったからといっていきなりお客様の数が増えるわけはない」



そう 僕が現場に出たからといって辞めていった女の子が戻ってくるわけではない、離れていったお客様が戻ってくるわけではない


開いた傷口は縫う事さえ難しかった


スタートダッシュこそ良かったものの、確実にそのスピードは停滞していた



“どうしたらいいのだろう”



1日でサラリーマンの月収以上の額を手にしたことなど、まるで嘘のような収入差だった


僕は独立してたった4ヶ月で店を潰すのか、あれほど流行っていた店を引継ぎのような形でオープンさせたにも関らず、たった4ヶ月で・・


来客が無い時間帯はいつも考えていた


成功とはなんなのか


経営とはなんなのか


こんなに悩むくらいなら、雇われで決まった給料を貰ってた方が良かったんじゃないのか


上手くいけば有頂天となり、傾けば、マイナスな事ばかりを考えてしまう


望んで手に入れた形に縛られていた


経営者は自由なんかじゃなかった


それでも、このまま終わるわけにはいかない


今、出来る限りのことをしよう


結論は一つだった


夏の暑さが和らぎ始めた頃、約20名でスタートを切った新制[S]には僅か3名しか在籍していなかった


[T]が健在だった頃の[S]は陰も形も潜めていた


その代わりに「あの店はだめだ」というレッテルばかりがこの街に浸透されつつあった―



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僕が風俗店のオーナーになるまでの日々 ©著者:cvbrkk

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