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16章:道標 (8/8)



欲望の渦巻く世界


喰うか喰われるか


弱肉強食


僕は経営者の道を選び、小川君は別の道を選んだ


決して誰かと競ってとか、


死ぬほど、寝る間も惜しんで努力してとか、


ノルマがあって、そのノルマをクリアーしてとか、


そういう形ではなかったと思う


[S]の店長になった時も奪うような形だった


そして今回も、社長が自滅してという形だった


一言だけ格好付けさせてもらうとしたら、普通ならばブチ切れてもおかしくないような事が、日常茶飯事だった毎日を逃げなかっただけ、諦めなかっただけ



“運”で経営者になれたといってもおかしくなかった気がする



経営者になること


会社を興すこと


お金次第で誰にでも出来る


問題はそれを続けていくことが出来るかどうか




 今までの出来事とは比べ物にならないくらいの前途多難が待っているだなんて考えてなかった


目の前に広がる光景を見てきたから


《店》があり、働いてくれる《女の子》がいたら何の心配もないだろう


青二才経営者が考えそうなことだ


その青二才経営者が自分自身だと気付かないほど、僕は未熟だったのか、それともうかれていたのか


経営者になって初めて見える光景


目を覆いたくなる出来事


引き抜き


裏切り


大赤字


女の子ゼロ


営業停止


こんなはずじゃなかった・・




ただ、この時の僕は明るい未来しか見えていなかった



風俗店の経営者になれた 寝ていてもお金が入ってくる



舞い上がっていたのだろう



そんな旨い話があるのなら、皆、風俗店の経営者になっている



なぜそんな単純なことに気付けなかったのか



残高はなくても根拠のない自信は溢れるほどあった



一寸先の闇の深さに気付かずに、戻ることの出来ない茨の道を歩き始めていた―



第十六章 〜道標〜[完]

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僕が風俗店のオーナーになるまでの日々 ©著者:cvbrkk

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