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10章:そして、店長へ (2/8)


 オープン当日、祝いの花もなければ、社長自らも[S]に駆けつけなかった テレビなどで目にする派手な光景とはまるで逆だった 唯一地元の情報誌に載せていた広告だけが頼りの綱だった

お客様が来る気配は全くといっていいほどなかった

出勤している女の子は3人、時間だけが過ぎてゆく


「しかし花の一つも届かへんってどういう付き合いしとんねんあの社長は!」


さすがに今日ばかりはどこにも出歩けない事に不満気味の川田さんがぼやく

一本の電話が鳴った

お客様からか

川田さんが取る


「有難う御座います! [S]で御座います! なんや・・ え? ああそうかいな わかったわ ほな」


お客様ではなく佐山さんみたいだ


「村上君、[T]が忙しいみたいやから手伝いに来てって言うてたわ」

「わかりました」


断る理由などあるはずもなく、僕は[T]へと向かった 目と鼻の先の距離にある[T]へは歩いて1分もかからない


カランカラン


「いらっしゃいませぇ!」


佐山さんの威勢のいい声がした


なんなんだろう この違い 待たれてるお客様も結構見えた


「村上君お疲れさん! 忙しいわ! 休憩時間だけ代わってくれるかな」

「わかりました」


[S]をオープンするに当たって、両方を行き来することになる僕は社長に言われていたことがあった


「いいか村上、[T]に来たお客さんがもしも写真見て気に入った子がいなくて、帰りそうになったとするやろ そしたら[S]にいる女の子の写真も見せてやれ もしかしたら[S]を利用するかもしれんからな」


経営者ならば誰もがそうするであろう 利益は一緒なのだから その言葉を思い出し、接客しようとした時だった


「村上君、言い忘れてたことがあったわ」


ここは[T]という職場 社長の発言は絶対であり、全て。



「[S]にはお客さん回さなくていいから」



え?



「社長の命令だから」



[S]の結果こそが川田さんの全てを物語るならば、“ゼロ”ほどわかりやすい数字はないということなのだろう


流れる汗は暑さのせいだけだろうか―


新店[S]は看板だけが虚しく光り、そこに本来集まるであろうお客様の姿はなく、虫達だけがその光の周りを飛びまわっていた


来客数ゼロ、勿論売上げもゼロ、[S]はこれ以上ないくらいの最悪の形で船出を迎えた―
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僕が風俗店のオーナーになるまでの日々 ©著者:cvbrkk

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