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3章:懐かしい者 (7/12)

親父「母さんを…頼んだぞ」


海「待てよっ…まだ何も…俺は…っ…」


親父「四年前…お前の誕生日だったな…
出張先から急いで帰ろうとした結果が…
あんな事になっちまった。
覚えてるか?お前が小学生ん頃はな……」


海「いいから…そんな事どうだって…
…まだ逝かないでくれよ………」


ノブ「……うぅ…っ…」


親父「ほら…助ける為に来たんだろ?」


親父は俺を降ろし、ノブさんの方へと
背中を押した。大きな温かい手で。

懐かしい、大きな手で。


ノブ「…海…か…?」


海「ノブさんっ!…立てますか?」


ノブ「なんとか…。
………優…久しぶりじゃな…」


親父「ノブさん…」


ノブ「…お前の息子は…よくやっとるよ…」


親父「それだけで…充分…です……」


流した涙と共に、親父はすうっと消えた。


海「……………………」


ノブ「…父親の遺した体を大事にせい。
ここにおったらお前まで死んでしまう」


海「……出来るだけ外に向かいましょう」


ノブさんにのしかかる木材を退かし、
ノブさんを背負って歩みを進めた。


救急隊員「おーいっ!誰か居ないかーっ!」


海「!…ここですっ!」
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あたたかいもの ©著者:陽

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