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2章:馴れ馴れしいもの (2/22)

校則違反だったのでバイトの事は
茜と陸人にしか教えていなかった。
が、やはり目撃者というものは
どこにでも居るみたいだ。

放課後、担任に呼び出された。


担任「海…お前真面目だと思ってたから
私はショックだよ…」


落胆し、いかにも残念そうな目で
俺の顔から自分の足元へと視線が流れた。

うなだれる担任の頭頂部を見つめながら


海「うち母子家庭なんで…働かないと
母が苦しいんです。」


自分でも驚く程冷静な声でそう呟いた。


担任「…!そうだったのか…すまない。
なにぶん知らなかったんだ。
しかしお前の成績は一学期だけでも
目を見張るものがある。出来る事なら
学業に専念して欲しいのが私の所望だ。」


…大学にでも行かせるつもりか?
学校の名声を、自分の株を上げたいんだろ?

担任の望みをやんわりと、しかし
ハッキリと丁重にお断りした。
これ以上母に負担を掛けたくない。
それが本音だった。


担任が理解してくれたとはいえ、
決して気分の良い話ではなかったので
俺にしては珍しく不機嫌な顔をしていた。

普段からニコニコする方ではないが
温厚な性格だと周りから言われ
好成績だという事もあり多数の推薦で
なぜか学級委員長にされてしまった。


だから今もこうして仏頂面のまま
連絡ノートを細々と書いているワケで。
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あたたかいもの ©著者:陽

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