忍は、沙耶に謝りに行った。

沙耶は、忍を笑顔で迎えてくれ気にしていないからと言った。

内心は、胃潰瘍になるほど病んでいたが、忍の心境を思うと何も言えなかった。

沙耶は、悔しかった。ドクターの指示とはいえ、許せなかった。

自分だけならまだしも、夫や子供まで…

その頃成美は、沙耶という獲物を見つけ、輝いていた。

成美の沙耶へ対する嫌がらせは、エスカレートする一方だった。

この事が今後、成美の人生を大きく左右するとは、予想していなかっただろう。

成美の様子を見ていた、子供達は、成美を軽減した。

成美は、子供達に軽蔑されるのは、沙耶のせいだとまた、沙耶を恨んだ。

成美に間違いなどなかった。

祥子は、大学生になり、家の為と朝から晩までバイトに明け暮れていた。

給料は、ほとんど成美に渡した。

滋は、教師を目指し勉強した。成美が菊に付きっきりだったので家事もこなした。

光は、朝、晩、新聞配達をし、給料を滋と２人で分け、こずかいにしていた。

成美にとって自慢の子供達だったが、子供達は、成美と接点を持たないようにする手段だった。

光は、成美が参観日に来る事まで拒んだ。

成美は、良い母親を演じてきたつもりだったが、菊を引き取り成美の本当の姿を見た子供達は、幻滅した。

光は、良い思い出だけを残せば良かったとあの時成美に電話をした事を悔やんだ。

成美は、自分にふりかかる、悪い事を全て沙耶のせいにして行った。

成美の沙耶への悪口は、ほとんど沙耶の耳に入った。

沙耶は、成美が病気だから仕方無いと自分に言い聞かせたが、息子の学校から呼び出された時は、我慢の糸が切れた。

成美は、息子の事を学校に通報していた。身に覚えの無い事で…

事実無根だった。

沙耶は、すぐに成美の仕業だと気づいたが、夫へは、内緒にした。

事を荒立てれば、次に何をされるか…

沙耶は、計画していた。

元々、成美の近所に家を借りていた沙耶は、夫に理由をつけ引っ越しの相談をした。

そして、了解を貰った沙耶は、成美の家の前の貸家を借りた。