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8章:本質
水商売を辞めてから、しばらくはずっと要に養ってもらってた。
要は全てを聞いた後も優しかった。
『どんなに時間がかかっても、必ず元のおまえに戻してやるから。』
きっと、それは要にとって愛情表現だったのかもしれない。
だけど、私は引っかかった。
元の私…
元の私って何?
1度汚なくなった体だから?
要と毎日一緒にお風呂に入る事も私はやめた。
眠る時も、同じベッドでも真ん中に抱き枕を置いた。
今思えば、要も辛かっただろう。
どうすればいいのかわからなかっただろう。
そんな毎日が2ヶ月は続いた。
ある日、要は携帯を忘れて出勤した。
歌舞伎町には行きたくないと思っていた私でも、さすがに携帯は届けなきゃと思った。
タクシーで店下まで行って、タクシー待たせて、渡したらすぐ帰ってこよう。
そう思って、私は要に携帯を渡すため、久しぶりに歌舞伎町に行った。
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