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51章:外には出ないこと
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51章:外には出ないこと
じいちゃんとばあちゃんは2人で暮らしてた。
ばあちゃんはボケが進んでた。じいちゃんが介護してた。
いろいろ大変だったみたいだけど、会話は出来ているようで、人が思うほど大変じゃないよって言ってた。
ばあちゃんの家に行くと。いろんなことが紙に書かれている。「冷蔵庫は閉めましょう」「電気は消しましょう」「トイレは←」「ふく、くつした↓」とか、いろんな字がじいちゃんの手で半紙に筆で書かれていた。
書いてあれば守ってくれるんだって。
じいちゃんはいつも一緒にいてあげたいけど、どうしても区役所とか病院に薬をもらいに出かけることがある。
心配だけど「外には出ないこと」と玄関に書いておけば、大人しく待っていてくれたんだって。
ある日、じいちゃんが出かけた。
もちろん玄関には
「外には出ないこと」
それなのに、じいちゃんが戻って来たら、ばあちゃんは家の前で車に轢かれてしまっていた。
救急車で運ばれた。
じいちゃんが駆けつけると、待っていたかのように、じいちゃんの手を強く握って天国へ行った。じいちゃんはとても悔やんだ。家族全員も悔しかった。今まで書いてあることは必ず守ってたのになぜ家を出たんだろう。
家族同然の付き合いをしていた隣のおばちゃんが話をしてくれた。
事故の直前、急に雨が降ってきた。ばあちゃんは布団を取り込みに庭に出た。すると、ばあちゃんは傘を持って慌てて道路に出てきた。ばあちゃんの病気をおばちゃんは知っていたから、心配になってばあちゃんの方へ向かったその時に事故が。
じいちゃんがまだ勤めていた頃、ばあちゃんは雨が降ると必ず駅までじいちゃんを迎えに行っていた。
ちょっとでも雨が降ると必ず迎えに行ってた。
雨を見て、じいちゃんが家にいなくて、傘を持っていこうとしたのだろう。それだけじいちゃんが好きだった。じいちゃんもばあちゃんが好きだった。
じいちゃんもしばらくして病気で天国へ行った。
ばあちゃんが持っていた傘と一緒にお墓に眠ってる。
じいちゃん、ばあちゃん達は幸せだったんだろうな。
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