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40章:ばあちゃんいつまでも元気でね
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40章:ばあちゃんいつまでも元気でね
ばあちゃんのぼけは日に日に進行してゆき、次第に家族の顔もわからなくなった。
お袋のことは変わらず母ちゃんと呼んだが、それすらも自分の母親と思い込んでいるらしかった。
漏れと親父は、ばあちゃんと顔を合わせるたびに違う名前で呼ばれた。
あるとき漏れがお茶を運んでいくと、ばあちゃんは漏れに
駐在さんご苦労様です
とお礼を言って話しはじめた。
「オラがちにも孫がいるんですけんど、病気したって見舞一つ来ねえですよ…
昔はばあちゃん、ばあちゃん、てよくなついてたのにねえ…」
そう言ってばあちゃんが枕の下から取り出した巾着袋には、お年玉袋の余りとハガキが一枚入っていて、よく見てみるとそれは漏れが幼稚園の年少のとき敬老の日にばあちゃんに出したもので、
「ばあちゃんいつまでもげんきでね」
なんてヘタクソな字で書いてあったものだから、漏れはなんだか悔しくて悔しくて、部屋を出た後メチャクチャに泣いた。
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ちょっと泣ける話 ©著者:メルシー
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