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24章:八百屋の母
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24章:八百屋の母
高校生1年になってすぐ母が肺がんで入院した。
親父と相談の結果、告知はしなかった。
夏が過ぎ、秋が過ぎ、病気の劇的な進行とともに母ももうこの病気は治らないことに気づき始めた、と思う。
そして年末、危篤状態になった。
でも12月30日、意識を取り戻した。
母「今日は何月何日?」
俺「12月30日だよ。」
母「そうかい、ウチはねぇ、この町で3代愛されてきた八百屋だよ。」
俺「うん、そうだね。」
母「だからね、町の人に迷惑かけちゃいけないんだ。」
俺「どういう意味だい?」
母「せめて『さんがにち』が明けるまで、不幸は出しちゃいけない。
あたしなんかのためにみんなに正月早々やな思いをさせちゃいけない。」
そう言ったきり、母は年が明けて1月4日の明け方まで眠り続け、そして旅立って行きました。
我ながらすげぇ母親を持ったもんだと、誇らしかった。
やっぱね、もう、だめぽ、と思った時には母のことを思い出します。
そうすると、まぁ、なんとかなる、うん。
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