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2章:ビデオテープ (1/1)

2章:ビデオテープ


俺、小さい頃に母親を亡くしてるんだ。
それで中学の頃、恥ずかしいくらいにグレた。
親父の留守中、家に金が無いからタンスの中を探してるとビデオテープがあったんだ。

俺、親父のエロビデオとかかな?なんて思ってみた。
そしたら・・・
病室のベッドの上にお母さんがうつってた。

「〇〇ちゃん、二十歳のお誕生日おめでと。何も買ってあげられなくてゴメンね。
お母さんがいなくても、〇〇〇ちゃんは強い子になってるでしょうね。
今頃大学生になってるのかな?もしかして結婚してたりしてね・・」

10分くらいのビデオテープだった。

俺、泣いた。本気で泣いた。
つぎの瞬間、親父の髭剃りでパンチパーマ全部剃った。
みんなにバカにされるくらい勉強した。

俺が、一浪だけどマーチに合格した時、親父、まるで俺が東大にでも受かったかねように泣きながら親戚に電話してた。


そんで、二十歳の誕生日に、案の定親父が俺にテープを渡してきた。
またよく見てみたら、ビデオを撮ってる親父の泣き声が聞こえてた。
お母さんは笑いながら
「情けないわねぇ」
なんて言ってるんだ。

俺また泣いちゃったよ。
父親も辛かったんだろうな。
親父にそのこと言ったら、
「しらねーよ」
なんて言ってたけど、就職決まった時、親父が

「これで母さんに怒られなくて済むよ」

なんて言ってた。

俺このビデオテープがあったからまっとうに生きられてる。

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ちょっと泣ける話 ©著者:メルシー

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