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80章:赤ちゃん (1/1)

80章:赤ちゃん

母の友人から聞いた話です。

臨月に入った、ある奥さんが電車に乗った時の出来事。
上品な紳士に席を譲られ、お礼を言って座りました。その紳士が下車する一瞬、紳士の着るスーツの襟に付いた、見覚えのある社章に気付きました。

「主人と同じ会社だ」

帰宅したご主人に話し、奥さんから聞いた背格好から推定し調べた結果、顔見知りの、別の課の課長さんであることが分かりました。

課長さんは「ああ、君の奥さんだったのか。こんな事もあるんだねぇ」とと言い、この偶然について驚いていたそうです。

3ヶ月後。
課長さんの自宅に、奥さんの名前で一通のハガキが届きました。赤ちゃんの写真が印刷され、その横にはこう書き添えられていました。

「その節は、ありがとうございました。この子は、あの時の子供です」

その日、課長さんの家は大変な修羅場と化したそうです。

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ちょっと笑える話 ©著者:メルシー

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