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2章:プラチナ
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次の日…昼過ぎに目覚めると軽く頭痛がした
…久々に飲むとやはり残るな…
私はそんな事を考えながら化粧水を染み込ませたコットンを片手に孝さんに電話をした
孝さんとは…新宿を中心に動いているスカウトの人で…歳は多分当時で25歳位だったと思う
素は地味な私だったがそれなりに化粧をして頭を盛りミニスカートを履いて新宿を歩けば…うざい位に声がかかるのだ
まあ身の程に合った条件の話だが…
孝さんとも半年位前にそんな感じで知り合った後…ちょくちょく近況報告などをしあう仲だった
「あ、孝さん?久しぶり〜元気だった?…早速で悪いんだけどさ、この前言ってたお店やっぱ紹介してくれないかな?…実は昨日1人で突入した店があるんだけど見事に落ちちゃって…」
「おう、いいぜ!弓ちゃんの魅力はパッと見じゃわかんないからな…俺が一緒にいってバッチリサポートしてあげるよ!…で、いつなら空いてるの?…ん?今日とかOKなの?了解!」
私はその日のうちに孝と歌舞伎町の某キャバクラに面接に行き早速明日からの稼ぎ口を決めた
特に歌舞伎町にこだわっていたわけではないが…18で上京してからずっとこの街でしか働いた事は無かった…それに何より家が新宿にあったからだ
時給は前のお店よりはちょっぴり下がったが…仕方ない
美人でない私は最初に安く見られる事には慣れていた
後はその分自力で頑張り時給をあげていくしかない
さてさて明日からまたがんばりますか!
そんな風に気合いを入れながら孝さんと別れた私はすっかり暗くなった歌舞伎町の夜道を歩き出した
その時鞄の中でマナーモードにしていた携帯のバイブ音が響いた
ドキドキしながら携帯を確認すると…私の淡い期待は見事に的中しその画面には望んでいた通りの人の名前が点灯していた
余談ですが…恋をする女の子の多くは好きな相手からの着信音を特別に他と変えたりしてますよね?
しかし私の場合は3年間ずっと敢えてお客さんも女友達も親もトワも…みんな着信音は一律同じに設定していた
…電話やメールがきてから相手を確認するまでのドキドキを楽しみたかったからだ
ほんの3秒位の間の事なんだけど…
あの頃は普通に日常生活を送っていても…『ト』と『ワ』と言う2文字にやたらと反応してたな(笑)
「もしもしトワ君?」
私は自分でも気持ち悪くなる位の高い声でトワからの電話に出た
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狂ってた… 前半 ©著者:弓
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