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9章:回想
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その日は
代行を呼んだエリナを見送り
私はバーに残った。
恋は盲目と言うけど
私はそうとは思わない。
知りたくないことまで知りたくなるし、
いつもより鏡を多く見るようになるし、
いろんな事に興味を持つ。
周りが見えなくなるわけじゃない。
人間の脳ってあらゆる情報を取り入れて
必要な情報と
不必要な情報に分別するんだって
きっと本当に恋をしてるときって
どうすれば愛し合っていけるかしか
必要な情報じゃなくて
知らず知らずのうちに
それに関係ない情報をしまってしまうんだね。
だからこそ
恋から覚めたとき
周りがよく見える
感傷に浸っているとバーのマスターに声を掛けられた
マスター「この店どうですか」
瑠羽「海みたいで落ち着くね」
マスター「ありがとう。」
瑠羽「こんな素敵なお店知らなかった」
マスター「看板ありませんからね。なんでここ知りましたか?」
瑠羽「噂です(笑)」
マスター「そうなんですか。お顔が暗いけど嫌な事でもありましたか」
瑠羽「…私、今まで頑張ってるふりとか、我慢してるふりして自分が可哀想だって思って悲劇のヒロインぶって生きてきたのかもしれません(笑)」
マスター「それでいいんです。自分を愛してあげないとどんどん可愛くなくなります」
瑠羽「だけど、そう思ってたせいでたくさんのものを失いました」
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MISS ©著者:如月 瑠羽
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