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ゆりかごハウス

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【小説概要】リアル コインロッカ-ベイビ-のその後②

  • 小説ID:42743
  • カテゴリノンフィクション
  • ページ数:0ページ
  • 連載状況:連載中
  • 総閲覧数:0件
  • しおり数:0人
  • レビュー:0件
  • 作成日:2014年9月18日
  • 更新日:2014年9月18日
もうこれ以上出せない力で走った …駅の改札も駆け抜け赤信号も無視して。
ハァハァハァハァハァハァハァハァ…心臓の音が自分の耳から聞こえるほど高鳴り続けた。新宿警察遺体安置所 冷たい金属の枠のストレッチャーにミカは横たわっていた。傍らには僕らの母親がわりだったシスタ-佐々木とゆりかごハウスの長、ファ-ザ-が立ちすくんでいた。シスタ-は部屋に駆け込んで来たマサルの腕を掴みすすり泣く声で「まぁ坊…」とひざが折れうずくまった。そして大きな声で泣いた。実に久しぶりに大人が泣くのを見た気がした。その青白く冷めた身体と顔には白い布がそっとかけられていた。まるで食卓のお料理の上にかけられた布みたいに。

ピアニストとして留学するために、夜の歌舞伎町でホステスとしてアルバイトをして、そこで知り合った彼だった。包丁で身体中を何ヵ所もメッタ刺しにされ、ほぼ即死だったらしい。彼は重度の覚醒剤中毒だった。
マサルはそっと白い布をめくるととても悲しい顔で目を閉じるミカの顔をじっと見つめた。そしてほっぺたを触った。唇を触った。冷たかった。でもそれはまぎれもなく大好きだった。ミカねぇだった。刺された傷口は紫色に晴れ上がり、身体のあちこちにあった。
「痛かった…苦しかった…寒かった…?」マサルは幾度となく問いかけた。ミカねぇはマサルより二つ年上で、マサルが引き取られた前の年に、新宿のとある公園に捨てられていて、ゆりかごハウスに引き取られた。ミカねぇはいつもマサルを可愛がってくれた。周りに溶け込めず、ひとり部屋の隅っこにいるマサルにいつも優しく話しかけてくれた。おやつの時間には自分の分までマサルにくれた。お兄ちゃんたちにイジメられてるマサルをいつもいつも助けてくれた。マサルがファ-ザ-に怒鳴られて施設を飛びたした時も、ミカねぇは裸足で追いかけてきてくれた。生まれて初めてマサルは手編みのマフラーをもらった。ミカねぇが時間をかけて編んでくれたもの。マサルが養子に出された後も、ことあるごとに会ってくれた。一人暮らしのミカねぇのアパートでミカねぇ手作りの料理を食べること、マサル楽しみにしていた。本当に優しかった…とても暖かかった…大好きで仕方なかった…

遺体安置所の冷たく刺すような空気がマサルの心と精神を少しずつ凍らせていった。クリスマスイブの前の日12月23日だった。たしか少しだけ粉雪が降っていたと思う。

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著者: kainさん

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ゆりかごハウス ©著者:kain

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