4章:作戦会議 (23/24)

　あたしの心が揺らぎかけていたとき、電話の向こうから女の声が聞こえた。

「――！」

「あ、ごめん。テレビ付けっぱなしで」

　嘘だ。

　アイトは慌てて言い訳したけど、嘘に決まってる。

　アイトは今、女といるんだ。

　……そうだよね。

　今までからあたしに隠して浮気することがあったもん。

　仕事だって言って、嘘つき。

　可愛い客とヤリたかっただけでしょ。

　あたしから500万を持ち逃げして、別の女といるなんて。

　絶対に許さない。

「歌舞伎町にいるの。戻ってきて……」

　声が震えたのは、悲しいからじゃない。

　あたしは怒ってる。

　憎んでる。

　あたしの心をもてあそんだこと、死んで後悔すればいい。

「会いたいよ、アイト……！」

　あんな逃げ方をして、まだあたしを騙せると思っているあなた。

　これで騙されてくれますか？