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28章:蓮の涙
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朝御飯を食べ終えると、俺は、兄貴から借りた車に荷物を積み込んだ。
俺「準備OKだ」
兄貴「忘れ物ねえか」
俺「大丈夫だ」
兄貴「蓮、頑張んだぞ」
蓮「…うん」
蓮は、有紀姉さんの手を握って小さく頷いていた。
蓮は、助手席に乗って元気なく兄貴達に手を振る。
俺「蓮、とおちゃん傍にいっかんな」
蓮「うん」
窓の外の風景を寂しそうに、眺めている蓮。
俺は、高速道路に乗って地元から2時間半程掛かる、神奈川県の横浜方面へとハンドルを向ける。
5年前に何度この道を、通っただろうか。
あの当時乗っていた車も病院への通院だけで、2年間で、14万㌔走破した事を思い出していた。
あの頃は、話す事も意思を伝える事も出来ずに、泣いていた息子も、もうすぐ小学生になる。
時が過ぎるのは、本当に早い。
5年前は、そんな事も考えられなかった。
産まれた時に、何もしなければ、3歳まで生きれないと言われ、他のこども病院では、手術しても二十歳迄生きれないと宣告された。
そして、辿り着いたのが神奈川県立こども医療センターだった。
息子の命を繋いでくれた大切な場所。
今日は、小学校入学前の定期的な心臓の検査だ。
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ReN〈蓮〉 ©著者:ダディ
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