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15章:流れ (4/5)

峰に薬の売人を託された舎弟の名前は、
竜也。
歳は峰より歳上で、33歳だ。

竜也は、ヤ○ザとは思えない今時のモデルみたいな容姿で、何人もの女に貢がせている男だった。


竜也は、飛ばしの携帯に注文電話がくると、
他の売人から格安でネタを仕入れ、正確に量を計り、小さなビニールの袋(パケ)に分け、指定された、あるいは指定した場所まで、ネタを運んだ。

そして、そのうち自分でもネタを喰う様になった。


竜也はみるみるうちにやつれ、大切な収入源の女たちにも暴力を振るう様になった。


峰は、竜也が覚醒剤中毒者になっている事を知っても、竜也が金さえ納めていれば良いと、何も言わなかった。

竜也が使えなくなったら捨てるつもりだったのだ。



凍る様な寒さの中、竜也は真夏の格好で出歩く様になった。

匂いのキツい香水を身体中に振りかけて、覚醒剤使用者特有の甘い体臭を隠した。

夜でもサングラスをかけ、好きだった酒も、一切飲まなくなった。


それでも、峰にはまあまあの額の金が入ってきていた。


しかし、竜也はあっという間に壊れた。

組でも孤立し、手持ちの金をすべて自分のための薬に使う様になった。 
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人魚姫 ©著者:涙 しずく

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