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2章:恋煩い
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2章:恋煩い
私が彼女に恋をしてしまったのは言うまでもない。あの日から二週間私は毎晩近く伊吹へ通った。
だが、私の予想通りあっという間に彼女は人気者になり私の席に着いてくれることは少なくなってしまった。誰とでも楽しそうに話す彼女を見ると胸が痛くなった。
これが嫉妬というものか。
それでも通い続ける私は自分自身を情けなく感じてしまった。
小心者の私は
「詩乃ちゃんと話したい」
などママに言う勇気もなく、ただチラ見をするのが精一杯だった。
一度同伴をし、少し近くなったはずなのに彼女がどんどん遠い存在になってしまった気がした。
だが、そんな私にも彼女は毎朝メールをくれた。所謂営業メールというものであるが私にとってそれは唯一の救いであった。
彼女が私の席に来てくれた途端、後ろからおっさんが
「詩乃ちゃん!こっちおいで。」
など図々しいセリフを吐く。
私は力いっぱい殴りたい気持ちではあったが、その図々しさが羨ましくも感じた。
「お客さん呼んでるみたいだから、行ってあげたら?」
そんなことこれっぽっちも思ってないが、私は無理矢理紳士らしくあしらった。
「いつもごめんね。全然話せなくて。」
そう言って彼女が席を離れてしまった。
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春に咲く、冬の花 ©著者:大河
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